みちのくより愛をこめて 0007

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被災地では長期的な医療支援が必要 福島県の北部沿岸地域で、めまいや耳鳴り急増

めまい患者が震災後急増 福島の津波被災地


 東日本大震災で津波被害を受けた福島県の北部沿岸地域で、めまいや耳鳴りを発症した患者が震災後、約2年にわたって増えていたことが、東北大大学院医学系研究科の日高浩史准教授=耳鼻咽喉・頭頸部(けいぶ)外科学=らの調査で分かった。日高教授は「震災の津波や原発事故で長期間緊張を強いられたのが原因ではないか」と推論している。


 2010年度から4カ年に公立相馬総合病院(相馬市)の耳鼻咽喉科で受診した症状別の新患数はグラフの通り。


 震災のあった11年3月11日をおおよその境に、めまいの症状を訴える患者のほか、強い回転性のめまいや耳鳴り、難聴、耳閉感の4症状が繰り返し出るメニエール病や、急性低音障害型感音難聴の患者が増えた。


 めまいやメニエール病は一般に体質や遺伝に起因するが、疲れや緊張も発症のきっかけになるとされる。今回の調査では、めまいを訴える患者の約5パーセントで同時にうつなど精神疾患の症状も確認された。


 震災の前後で耳鼻咽喉科の1年間当たりの新患総数に大きな変化はなかった。鼻出血、アレルギー性鼻炎など他の症状の新患数にも極端な増減はなかった。


 14年7月まで耳鼻咽喉科長だった長谷川純医師は「震災3年目から減少したのは、緊張も少しずつ落ち着いてきたからではないか」と分析。同様に12年度まで増加した咽喉頭炎患者数については「風邪ははやりもあるので、(震災との)関係は不明」と言う。


 日高教授は「被災地では長期的な医療支援が必要であることが示された」と強調している。