みちのくより愛をこめて 0007

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プラチナくるみん 仙台市と山形市の2企業が4月、全国で初めて取得

<プラチナくるみん>先進起業 魅力も育つ

 

職場環境を整えたことで女性社員も増えた

 
 仕事と子育ての両立支援に積極的な企業の最高クラスとして厚生労働省が認定する「プラチナくるみん」を、仙台市と山形市の2企業が4月、全国で初めて取得した。育児休業(育休)の取得促進など労働環境の改善は、業績の向上や人材確保にもつながっているようだ。

 

<リポートを共有>
 育休取得率女性100%、男性35.9%。業務用厨房(ちゅうぼう)機器販売のホシザキ東北(仙台市)が、くるみんを取得した2012年から2年間で実現した数字だ。この実績が短期間でプラチナくるみんに押し上げる要因となった。


 育休取得に一役買っているのが育休リポートだ。家族と過ごす写真や期間中に感じたことをまとめ会社に提出。社内限定のインターネットページに載せ、従業員約470人で共有する。

 

 3児の母で、特定社会保険労務士の資格を持つ総務課の係長は「ほほえましいリポート効果で育休への理解が深まり、休むことが当たり前という空気ができた」と話す。

 2週間以上の育休取得者には一律5万円の奨励金を支給する。一連の取り組みの結果、売上高は有給休暇(有休)や育休の取得推進を始めた07年度比で3割以上アップ。離職者も大幅に減ったという。高橋係長は「休暇をきちんと取ることで生産性が向上した。魅力を感じて入社する新卒者も増えた」と手応えを語る。

<休暇取りやすく>
 産業廃棄物処理業のオイルプラントナトリ(名取市)は13年にくるみんを取得した。

休暇の届け出書の理由欄には体調不良や病院付き添いなどと並び、入学式や授業参観など学校行事の項目を設けている。総務部の係長は「会社公認で申請しやすい。学校行事に行く男性社員も増えた」と話す。


 誕生日などを祝う「メモリアル」や「バーゲン」といった項目も。星野豊常務(60)は「休みを取るために社員は自ら考え、段取りを付けて仕事をする。それが会社のためにもなる」と説明する。

 

 印刷業のユーメディア(仙台市)は11年、男女ともに働きやすい職場づくりを進める企業として県の認証を受けた。妊娠中のつわりを理由に取得できる「プレママ休暇」や短時間勤務制度を設けている。

 取締役は「子どもに手の掛かる数年のために辞めてしまうのはもったいない。社員に寄り添いサポートしたい」と話し、子育て支援の成果に期待を込める。

 

 

★プラチナくるみん

「プラチナくるみん」とは、仕事と育児の両立支援に熱心に取り組む企業のうち、トップクラスの実績を上げている企業を厚生労働省が認定し、税制面などで優遇する制度およびその認定マークのことです。プラチナくるみん(特例)認定制度は、次世代育成支援対策推進法(次世代法)の改正実施に伴い、来年4月1日からスタート。現行の認定制度「くるみん」の認定を受けたことのある企業が対象で、くるみん認定よりも規準が厳格化される分、特例認定を受けると、行動計画策定・届出義務の免除や税優遇の拡充などさらなるメリットが付与されます。

 

■プラチナくるみんとは男性労働者の育児休業取得者が13%以上などの基準を満たす企業を、厚生労働省が認定する制度。次世代育成支援対策推進法(次世代法)に基づき2005年に始まった「くるみん」の取得が前提で、高い基準を設けている。改正次世代法の4月施行に伴い導入し、東北ではホシザキ東北と山形銀行が認定された。くるみんは宮城県内で23社が取得。おくるみ、職場ぐるみといった意味を込めた。

子育て支援の“最高位”に国のお墨付き
現行制度より認定厳しく、メリット拡充


次世代法では、企業が一般事業主行動計画の策定・届出を行い、一定の基準を満たせば、厚生労働大臣の認定を取得することができると定められています。これまでの認定制度は2007年に導入された「くるみん」マークのみでしたが、14年4月に次世代法が改正され、新しい認定制度が創設されました。それが「プラチナくるみん」(特例)マーク。改正法施行に伴い、来年4月1日からスタートします。

くるみんもプラチナくるみんも、次世代育成支援対策に熱心に取り組む企業を優遇し、仕事と育児の両立支援を推進するのがねらいです。制度の趣旨や基本的なしくみに大きな違いはありません。差があるのは、認定基準の難易度と認定取得に伴うメリットの多寡。くるみん認定では、「男性労働者のうちの育児休業等を取得した者が一人以上いること」や「残業削減や有休取得促進等のための措置を実施していること」といった複数の基準を設け、それを満たした企業を厚労相が認定します。認定企業になると、建物などの取得や増改築の際に減価償却の優遇制度(くるみん税制)が適用されるほか、商品や広告に認定マークを付けることができ、子育て支援に意欲的な企業としてのイメージアップや優秀な人材の確保などにつながるメリットが期待されます。

くるみんの認定企業は14年5月末時点で1867社。ただ、企業側には「取得してもメリットが少ない」との意見もあるため、新たに税優遇の拡充などを盛り込んだプラチナくるみん認定制度が設けられることになったのです。

 同制度の申請・取得対象はくるみん認定を受けたことのある企業に限られ、また、くるみん認定よりも厳しい基準をクリアしなければ、認定の取得には至りません。例えば、女性の育休取得率の基準は75%以上、男性の育休取得率については、「13%以上」か「育休と類似の休暇制度の合計が30%以上」のどちらかの基準を選択して満たす必要があります。企業としては決して簡単な取り組みではありませんが、ハードルが高い分、プラチナくるみん認定を取得すれば、それはまさに子育て支援の“最高位”として、国のお墨付きを得ることになるわけです。また、プラチナくるみんの認定企業は、一般事業主行動計画の策定・届出の義務を免除され、代わりに毎年少なくとも1回、次世代育成支援対策の実施状況をウェブ上で公表すればよいことになりました。