みちのくより愛をこめて 0007

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アンモニアで発電 産業技術総合研究所(産総研)が東北大と共同開発

100%アンモニアで発電 産総研、メタン混合も成功

 産業技術総合研究所(産総研)が東北大と共同で研究を進めているアンモニアを活用したガスタービン発電について、産総研は17日、メタンとアンモニアの混合ガスを燃やした場合、また、100%アンモニアガスを燃やした場合とで、それぞれ41.8キロワットの発電に成功したと発表した。アンモニアを利用した発電技術の進展や温室効果ガスの大幅な削減に貢献する技術として期待され、実用化に向けて一歩進んだ。


 発電の実証試験は、郡山市の福島再生可能エネルギー研究所で行われており、世界初の試み。アンモニアは燃焼させても二酸化炭素が発生せず、発電用燃料として期待される一方、一般の燃料より着火しにくいことなどから、ガスタービン発電の燃料には使用されていなかった。産総研は、アンモニアをメーンの燃料とした技術開発を進め、昨年、灯油にアンモニアを30%混ぜて発電する実証試験を行い、21キロワットの発電に成功している。


 今回はメタンとの混合ガス、アンモニアガス100%のいずれでも発電を実現させたほか、ガスの燃焼で生まれる窒素酸化物を排ガスから除去する「脱硝(だっしょう)装置」を使い、窒素酸化物を抑えることにも成功した。

 

アンモニア発電」とは?


 食物に含まれるタンパク質などを微生物が分解する際に発生するアンモニア。

アンモニア発電とは、この強い刺激臭を持つアンモニアを燃料とする発電技術のこと。現在は、アンモニアを直接燃焼させる発電技術と、アンモニアの熱触媒接触分解反応と燃料電池を組み合わせた発電技術とが研究されている。


 アンモニアは着火しにくく、燃焼速度も遅く、さらに燃焼時に有害なNOx(窒素酸化物)を発生するため、発電に用いる燃料としては不向きとみなされてきた。しかし今年9月、日本の産総研・再生可能エネルギー研究センター(福島県)の水素キャリアチーム、辻村拓研究チーム長、壹岐典彦研究チーム付および東北大学との共同研究チームが定格出力50 kWのガスタービン発電装置を用い、灯油とアンモニアを燃料にして、約40 %の出力にあたる21 kWの発電に成功した。

 

灯油の約30%相当をアンモニアに置き換えて燃焼させたところ、灯油だけを用いた場合とほぼ同じ出力で発電でき、しかもアンモニアを燃焼させるときに排出される有害なNOx(窒素酸化物)を、やはりアンモニアを使用する触媒(脱硝装置)により10 ppm未満にまで抑制することに成功、環境基準に照らして十分低い環境負荷でのアンモニア発電に見通しが立った。これはアンモニアを利用したガスタービン発電として世界初の成果だ。