みちのくより愛をこめて 0007

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相双の酪農家5人が運営する「復興牧場」が福島市土船に完成 10月1日から稼働

「復興牧場」希望の一歩 相双の酪農家5人が運営


 東京電力福島第1原発事故で休業に追い込まれた相双の酪農家5人が運営する「復興牧場」が完成、25日に福島市土船の現地で記念式典が行われた。

東北最大級の乳牛580頭を飼育する予定で、10月1日から稼働する。県内の酪農関係者ら約120人が先進的な農場の誕生を祝った。

 式典では、牧場を運営する会社「フェリスラテ」の田中一正社長(44)が「この道を選んだのは、福島の酪農復興を成し遂げるという使命感があったから。集大成として取り組みたい」と5人を代表して意欲を語った。

 復興牧場は、国内では珍しい共同経営方式を導入することで酪農の先進モデルの構築を目指す。また、原発事故後で落ち込んだ生乳生産基盤の回復を進める。生乳生産量は年5000トンを目標としている。約3.6ヘクタールの敷地に搾乳牛舎3棟、出産前の牛を収容する牛舎、飼料庫などを備える。

■ 牧場は福島県内の30~50代の酪農家5人が共同で経営。いずれも原発事故で避難生活を送る中、酪農再興を目指す福島県酪農業協同組合の呼び掛けに応じて参加した。

 式典では記念碑が除幕された後、テープカットが行われた。運営会社の社長、田中一正さん(44)は「牧場が軌道に乗り、福島の酪農仲間に元気を出してもらえたら、これほどの喜びはない」と話した。

 同組合によると、県内では約60戸の酪農家がいまだ避難休業を余儀なくされており、生乳生産量も震災前と比べ2割近く減少。酪農は深刻な担い手不足に直面している。

 復興牧場では休業に追い込まれた酪農家を支援すると同時に、日本では珍しい共同経営方式を導入することで酪農の次世代モデル構築を目指す。

 牧場では乳牛約580頭を飼育し、生乳生産量は年5千トンを計画。従業員数は20人規模で、牧草は周辺の耕作放棄地を活用して育てる


■「復興牧場」待望の完成 乳牛、2日に搬入

 東京電力福島第一原発事故で避難を強いられ休業中の酪農家を支援するため、県酪農業協同組合が福島市土船に建設を進めてきた「復興牧場」が25日完成し、落成見学会が開かれた。東北最大級の規模で、10月から操業開始する。

酪農経営の次世代モデル、さらに本県酪農の復興の象徴として期待を集めている。
 飯舘村の田中一正氏と長谷川義宗氏、南相馬市の但野賢士氏、浪江町の宮田幸雄氏と門馬秀昭氏が設立した農業生産法人「フェリスラテ」が共同で経営する。原発事故で避難生活を送る中、本県の酪農再興を目指す県酪農業協同組合の提案に応じた。

 組合が3・6ヘクタールの敷地に搾乳牛舎、搾乳施設、飼料庫、堆肥発酵舎などを整備した。建設の総事業費は15億1614万円。東日本大震災農業生産対策交付金事業で、国補助が50%、県補助が32・5%。農林中央金庫が復興ローンと復興ファンドで設備建設や運転資金として合わせて約5億7千万円を融資する。

 当初計画では建設費を10億円程度と見込んでいたが、復興需要や東京五輪開催決定の影響で建設資材や人件費がかさんだ。土地造成中に大量の石を除去するため、工期が半年ほど遅れた。

 牧場では乳牛580頭を飼育し、生乳生産量は年5千トンを計画。10月2日に乳牛60頭が搬入される。

■記念碑を除幕
 記念碑が除幕された後、県酪農業協同組合の宗像実組合長、フェリスラテの田中社長らがテープカットした。市内のウェディングエルティで落成式が行われ、関係者が待望の施設完成を祝った。