みちのくより愛をこめて 0007

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福島県内地価上昇率 全国最大

福島県内地価上昇率 全国最大 上位10地点 いわきの宅地 宅地購入に影響も

 

 国土交通省は18日、1月1日時点の公示地価を発表した。

福島県内の住宅地、商業地、工業地を合わせた全用途の平均変動率は前年比2・4%増で、伸び率は全都道府県で最大となった。東日本大震災東京電力福島第一原発事故による避難者の宅地を求める動きが、従来に増して活発化していることなどが要因とみられる。いわき市の住宅地は、全国の調査地点(全用途)で変動率が上昇した上位10地点を占めた。

■避難者の需要さらに増
 福島県内の調査地点396地点のうち変動率が上昇したのは前年より66地点増え、全体の約6割に当たる249地点だった。横ばいは70地点(前年60地点)、下落は全体の2割弱の71地点(同144点)。


 住宅地は、原発事故により双葉郡などから約2万4千人が避難しているいわき市が7・3%増で、県内最高となった。


 いわき市泉の住宅地が17・1%で全国2万3363の調査地点のうち最も高く、10位までに入った同市の住宅地の変動率はいずれも10%を超えた。震災と原発事故前から調査しているいわき市の住宅地61地点のうち、4分の3の45地点で震災前の平成23年1月1日時点の価格を超えた。


 いわき市のほか、浜通り南相馬、相馬、広野、新地の各市町でも住宅地の平均変動率は上昇した。県は被災者の移転需要に加え、建設業など復興関連業者の進出などで土地の価格が上がっているとみている。一方、中通りの住宅地の変動率は郡山市が3・8%増(前年1・4%増)、福島市が2・7%増(同1・9%増)で両市とも2年連続のプラスとなった。両市の一部の調査地点では、震災前の価格を上回った。


 商業地の平均変動率はいわき市が3・3%増(同1・4%増)、郡山市が3・0%増(同0・9%増)、福島市が0・7%増(同0・5%減)だった。復興需要により飲食業やホテル業の業況が改善していることが、3市で平均変動率の上がった要因だと県は分析している。工業地では、「ふくしま産業復興企業立地補助金」を活用した工場の新増設が進み、郡山、いわき、白河、福島、須賀川の各市で平均変動率が上昇した。


 地価の上昇により、個人や企業の所有する土地の資産価値が上昇する一方、宅地の購入が困難になったり、相続税や固定資産税が増えるとの懸念も出ている。


 国土交通省土地鑑定委員会の本県代表幹事を務める不動産鑑定士の鈴木禎夫(よしお)氏(59)=郡山市=は、地価の上昇について「いわき市などで特に、住宅を購入しづらくなった」とみている。一方、都市部でマンションを建設するため土地を購入する動きが出ているとして、「復興需要をきっかけに、経済が好循環している」と話している。


 国税庁が毎年7月に発表する相続税路線価は、公示地価と同じ1月1日を基準にしている。同庁は「路線価は公示地価を参考にしており、7月発表分に(今回の結果が)反映される可能性はある」としている。