80キロ圏空間線量予測は自然減衰より早期減少と日本原子力研究開発機構が発表
自然減衰より早期減少 JAEA、80キロ圏空間線量予測
日本原子力研究開発機構(JAEA)は30日、東京電力福島第1原発から半径80キロ圏の空間線量予測を発表した。予測では、放射性セシウムの自然減衰に、「都市」や「水田」など地理的条件ごとの減衰の特徴を加味し、自然減衰よりも早いペースで線量が下がると分析した。
避難区域の予測では、今年3月の線量と原発事故から30年後の2041年3月との比較で、自然減衰の理論値では約69%下がるのに対し、地理的条件を加えると約75%低下するとしている。例えば「都市」は、道路を車が走ることで路上にたまっている放射性物質が分散され、結果的に濃度が薄まると予測する。
帰還困難区域では除染が本格的に始まっていないことから、JAEAは「除染が進めばさらに、自然減衰よりも下がる可能性がある」としている。
車載型放射線量測定装置を利用した自動車走行サーベイで収集した情報をまとめ、「都市」など8項目の地理的条件ごとに減衰傾向を分析。100メートル四方ごとに測った線量を、傾向を反映させた計算式に当てはめ将来の線量を予測した。
同じ地理的条件でも減衰率に幅があることなどから、JAEAは「予測には不確かさがある」とし、それらも考慮した予測図も作成するなど分析を進めている。
★国立研究開発法人日本原子力研究開発機構(にほんげんしりょくけんきゅうかいはつきこう、英:Japan Atomic Energy Agency、略称:原子力機構、JAEA)は、原子力に関する研究と技術開発を行う国立研究開発法人。
日本原子力研究所 (JAERI、略称:原研) と核燃料サイクル開発機構(JNC、略称:サイクル機構、旧動力炉・核燃料開発事業団 = 略称:動燃)を統合再編して、2005年10月に設立された。